【キャスト詳細・感想】『工作 黒金星と呼ばれた男』:北朝鮮に潜入した実在のスパイを描く
こんにちは。Masashiです。
今回は2018年に韓国で公開された映画『工作 黒金星と呼ばれた男』(原題:공작)の感想記事です。
実在したスパイ、パク・チェソ氏への聞き取りを基に作った作品というから驚きです。
指令を受けて北朝鮮に潜入したスパイ・黒金星(ブラック・ヴィーナス)が、一体どのような“工作”を行っていくのか?
終始緊張感あふれつつも、2人の男の絆に胸を打たれる物語。
前半は主要キャスト陣を詳しく紹介し、後半には鑑賞した感想をお伝えします。
結末含むネタバレはありません。未視聴の方も安心してご覧いただけます。
※以下の『もくじ』から好きなところへ移動できます!
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もくじ
あらすじ
1993年、韓国は北朝鮮の核兵器開発に対して大きな危機感を持っていた。
元諜報部員だったパク・ソギョン(ファン・ジョンミン)は、諜報機関である安全企画部にスカウトされる。
そして受けた指令は「北朝鮮に潜入して核開発の実情を掴め」というもの。
コードネームは“黒金星(ブラック・ヴィーナス)”。
彼は世界を飛び回るビジネスマンになりきり、中国で北朝鮮高官のリ・ミョンウン所長(イ・ソンミン)との接触に成功する。
リ所長は外国とのビジネス担当で、単独で金正日総書記と会えるほど地位の高い人物であった。
北朝鮮は経済状況が壊滅的なため、黒金星からのビジネスの提案に乗ってくる。
黒金星はあくまで“ビジネス”という名目で、命懸けの北朝鮮潜入に成功するのだが…。
『工作 黒金星と呼ばれた男』キャスト
終始緊張感に満ちた本作を支える名優たちをご紹介します。
ファン・ジョンミン:パク・ソギョン役(黒金星)
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実在したスパイ・黒金星をファン・ジョンミンが演じました。
- 生年月日:1970年9月1日
- 出身:慶尚南道馬山市(現在の昌原市)
- 出身校:ソウル芸術大学・演劇学科
- 代表作:『国際市場で逢いましょう』(2014年)、『ベテラン』(2015年)
温かみのある雰囲気を持ちながら、シリアスな演技もこなす韓国を代表する俳優さんですね。
本作では素性を隠すスパイを演じています。
2021年12月24日に日本公開のノワール映画『ただ悪より救いたまえ』にも主演。
世界的ヒットドラマ『イカゲーム』のイ・ジョンジェと共演します。
イ・ソンミン:リ・ミョンウン役(北朝鮮対外経済担当)
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黒金星が接触した北朝鮮の対外経済担当のリ・ミョンウン所長を演じたのはイ・ソンミン。
- 生年月日:1968年12月4日
- 出身:慶尚北道奉化郡
- 出身校:大邱化学大学・放送エンターテインメント学科
- 代表作:ドラマ『ミセン』(2014年)、『KCIA 南山の部長たち』(2018年)
この人は直近の映画『KCIA 南山の部長たち』で韓国の朴正熙大統領役を演じ、今回は真逆の北朝鮮高官という役。
見た目も中身も、同一人物とは思えないなかなかのカメレオンぶりを見せつけられました。
>>イ・ソンミンの怪演が光る『KCIA 南山の部長たち』感想記事はこちら!
チョ・ジヌン:チェ・ハクソン役(韓国安全企画部)
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“安全企画部”という諜報機関の室長を演じたのはチョ・ジヌン。
“安全企画部”の前身は朴正熙政権時の“KCIA”です。そう言えばメチャクチャぶりをイメージしてもらえるのではないでしょうか。
- 生年月日:1976年4月2日
- 出身:釜山広域市
- 出身校:慶星大学・演劇映画学科
- 代表作:『お嬢さん』(2016年)、『毒戦 BELIEVER』(2018年)
デカくて強面なので、こういったアングラ作品への出演が多いイメージですね。
余談ですが私が留学していた釜山の慶星大学のOBなので個人的に好きです…。
チュ・ジフン:チョン・ムテク役(北朝鮮保衛部)
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北朝鮮の秘密警察チョン課長を演じたチュ・ジフン。
- 生年月日:1982年5月16日
- 出身:ソウル特別市
- 出身校:京畿大学・演技学科
- 代表作:『神と共に』シリーズ(2017年、2018年)、『暗数殺人』(2018年)
この人のドライな感じが、いかにも北朝鮮保衛部の人っぽくて大好きです。
無慈悲な雰囲気で、「反乱分子見つけたら迷わずやっちゃうよ」感が絶妙でした!
以上が主要キャストの紹介でした。
これより感想です!
『工作 黒金星と呼ばれた男』感想
とにかく面白い骨太な映画です!
ぜひ見ていただきたい作品ですね…。
南と北、2人の絆に涙
“38度線を超えた2人の絆”とでも言いましょうか…。
その絆に思わず涙が溢れてしまいました。
韓国のパク・ソギョン(黒金星)と北朝鮮のリ所長。
それぞれ立場こそ違えど、祖国の命令に従って共に一つのビジネスに取り組むことになるわけです。
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当初、黒金星はリ所長のことをただの“スパイ対象”としか見ていなかったんですね。
自分と同じく指令を受けて潜入した先人達は、皆殺されているので当たり前といえば当たり前ですね。
本当に命懸けのミッションです。
しかも上司からは「もしスパイだとバレたら情報を吐かされる前に自害しろ」なんて言われてます。
しかし、リ所長と共にビジネスをする中で彼の自国を良くしたいと思う気持ちを感じ、また家庭での“父”としての姿を見る中で、次第にリ所長のことを一人の人間として見るようになったわけです。
いつしか2人の間には“スパイ”と“その対象”という垣根を超えた絆が芽生えます。
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朝鮮戦争以降、国家は北と南に分断されましたが同じ朝鮮語を話す民族。
分断から70年近い時が流れ、最も近くて遠い国同士になっています。
もしも2人が同じ国で幼馴染だったら、一番の親友になっていたのだろうか…とも考えがよぎりましたが、それは違うなと思います。
育った環境、価値観が違う2人の中に“祖国を思いやる気持ち”という大きな一つの共通点があったからこそ、強いシンパシーを感じることができたのではないでしょうか。
2人は劇中のような出会い方をしていたからこそ、真の絆が生まれたんだと思います。
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本作に派手なアクションはありません。
ただ静かに、2人の感情の機微を丁寧に表現しています。
やはりスパイが題材の作品は面白い
本作は“南から北”にスパイを送る作品でしたが、韓国のスパイ映画は“北から南”に送る作品が多いので本作は新鮮で面白かったです。
同じ民族同士でスパイを送り合うというのが、日本に住む我々には考えられないことですよね。
現在の朝鮮半島は比較的平和なので忘れがちですが、朝鮮半島の情勢というのは非常に不安定なものなんですね…。
我々の知らない部分で、南北間の火種を消すために暗躍してる人が確実に存在してるんでしょうし。
本作の黒金星に似た形で裏工作する人物がいるんでしょうかね…。
『愛の不時着』や本作のように、今も現実として残っている南北問題を題材にした映画やドラマを作れるのはすごいです。
おわりに
いかがだったでしょうか。
ちなみに黒金星が潜入していたのは1993年〜1997年という期間の話なんですよね。
私が生まれたのが1994年ですから、その頃ちょうど活動していたと思うと非常に感慨深いものがあります。
すごく最近の話ですね…。
まして、モデルになった黒金星本人(パク・チェソ氏)がまだ生きているという事実。(2021年11月23日現在)
この生きる伝説を映画化してくれたユン・ジョンビン監督に感謝です。
韓国の歴史を軽視するわけでは決してないのですが…
『タクシー運転手 約束は海を超えて』や『KCIA 南山の部長たち』もそうですが、近代の濃厚な歴史をここまで面白い映画にしてしまう(エンタメ化してしまう)韓国映画の力量には何度驚かされたか分かりません。
これだから韓国映画はやめられないんですよね。
最後までご覧いただきありがとうございました。