【本人画像あり】実話映画『1987、ある闘いの真実』のモデルになった人々
こんにちは。Masashiです。
映画『1987、ある闘いの真実』は、実際の事件をモデルにした作品です。
本記事では、各登場人物のモデルになった人々を紹介し、彼らがどのような行動をとったのか。
記事や動画を基に説明していきます。
本記事は映画のネタバレを多いに含みます。未視聴の方はご注意ください。
※以下の『もくじ』から好きなところへ移動できます!
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もくじ
【市民】『1987、ある闘いの真実』のモデル
基本的に実話ベースなので、登場人物は実在の人物がモデルです。
それぞれ紹介していきます。
故・パク・ジョンチョル氏
まず、警察の取調べ中に拷問を受けて亡くなったパク・ジョンチョル(박종철)氏。
ご本人は当時ソウル大学の学生でしたが、警察からの取調べ中に拷問され、命を落としました。
劇中では、ヨ・ジングが演じました。あまり顔が映るシーンが無かったので、ヨ・ジングが演じてると気づきませんでした。
以下の動画でも、本人が言っています。
ヨ・ジングが、ご本人のお墓参りをして実のお姉さんと対面したという動画です。
以下は、パク・ジョンチョル氏が亡くなった当時の対共分室509号室。
現在は追悼スペースが設けられています。
故・イ・ハニョル氏
カン・ドンウォンが演じたイ・ハニョル氏。
劇中でも描かれていた通り、当時延世大学の大学生でした。
パク・ジョンチョル氏拷問致死事件への抗議デモの際、頭部に催涙弾の破片が当たって亡くなりました。
彼の死もまた、静観していた国民の心に火をつけました。
大学生・ヨニについて
キム・テリが演じた大学生のヨニについては、実在の人物は存在しません。
イ・ハニョル氏が催涙弾に当たったと言う知らせを聞いて立ち上がった“当時の国民たち”を集約したようなキャラクターです。
【事件関係者・市民側】『1987、ある闘いの真実』のモデル
“窒息死”だと記者に伝えたオ医師
劇中でイ・ヒョンギュンが演じたオ医師。
実際のモデルはオ・ヨンサン医師です。
記者に対し、パク・ジョンチョル氏の死因を“窒息死”だと伝えた方です。
警察から呼び出されて対共分室に着くと、パク・ジョンチョル氏の蘇生を命令されます。その部屋は床が水浸しだったといいます。
警察の説明は、「この学生が昨日酒を飲んだのか、『水をください』というので与えると、やかんのままゴクゴク飲んで息をしなくなった」とのこと。
聴診器を当てると“水の音”がして、腹部が著しく膨れていたといいます。
約30分間、心配蘇生を試みますが、息絶えているので意味がありませんでした。
そして、死因を「未詳」と書くように言われます。
警察から事実の隠蔽するよう、圧力をかけられました。
オ・ヨンサン医師のインタビュー動画です。当時のことを回顧しています。
以下、動画の日本語訳です。
「先手を打って警察が発表した『机をバンっと叩いたら、ウッと言って死亡した』という内容には腹が立ちました。
その発表通り、『ショック死です』と自分が証言するのは性格上、許せなかったです。
もしあのまま真実を曖昧にしていたら、医師を辞めていただろうし、自らを責めながら生きることになったでしょう。
あの事件自体、それほどいい記憶ではありません。
事実上、医師としては“失敗”じゃないですか。生かそうと思ったのに、生かせなかったから。
(真実を述べるのは)怖かったけれど、自分の責務を全うすべきじゃないでしょうか。
もちろん後悔はしていません。
全ての行動は医師として当然の判断だったし、それ以上でもそれ以下でもありません」
検死を指示したチェ検事
劇中で、ハ・ジョンウが演じたチェ検事。
拷問致死を隠蔽するため遺体の火葬許可を依頼してきた警察に対し、チェ検事は遺体は“検死”を命じました。
実際の人物は、チェ・ファン(최환)氏です。
事件当時、ソウル地方公安部長を務めていました。
写真左がハ・ジョンウ、右がモデルになったチェ・ファン氏。
劇中でのチェ検事は、正義感あふれるが粗暴で破天荒なキャラクター。
ただ実際のチェ・ファン氏は非常に真面目で、劇中のように勤務中に酒を飲んだり、誰かを蹴ったりしない方で…。
イメージが異なりすぎて、「もし映画制作前に知っていたらそんなキャラクターにするのはやめるように言っていただろう」とのこと。
ただ試写会で見た感想は「非常に良かった」らしく、自身との違いの件も「あくまでフィクション」だと割り切り、自身を演じてくれたハ・ジョンウを気に入ったとのこと。
(参考:ノーカットニュース2018年1月2日記事)
以下は、チェ・ファン氏がJTBCニュースに出演した際のインタビュー動画です。
警察がチェ・ファン氏に、パク・ジョンチョルさんの死亡報告書を持って来たとのこと。
その内容は、「机をバンっと叩いたらウッと言って死亡した」という内容が書かれていました。のちに警察が発表する内容ですね。
「これはおかしい」と指摘すると警察たちの表情が変わったのを見て、直感的に「拷問で死亡させたんだな」と思ったそうです。
そして警察が来た理由を尋ねると、「今日中に遺体を火葬する準備ができているから、すぐに許可してくれ」と言われます。
なぜそれほど急かすのか…と怪しく思い、火葬を拒否して検死を命令したそうです。
このインタビューの回想では以下のように述べられています。
「もし当時の担当検事が私じゃなかったら、各方面(警察等)からの圧力に負けていたでしょうね。
私は『それは正義に反することだ』と、頑強に耐え抜きました。
当時の私の判断は正しかったし、それを押し通すことは検事として当然の職務遂行だと思ったからです。
パク・ジョンチョル君の死因を究明することに力を注いだことは、自分でもよくやったと思います。
(パク・ジョンチョル君は)肉体は亡くなったが、“パク・ジョンチョル”という名前と姿は、歴史の中で永遠に生き続けます。
(いつか自分が亡くなって)彼と会ったら、私に対して『先輩のおかげで、私は歴史上の人物になっています』と言うかもしれませんね。
そしたら、私は『私より君の方が偉大だよ』と言うつもりです」
東亜日報・ユン記者
イ・ヒジュンが演じたユン記者。検死したオ医師からの「拷問による窒息死」という情報を入手し、報道しました。
(C) 2017 CJ E&M CORPORATION, WOOJEUNG FILM ALL RIGHTS RESERVED
実際の人物は、ユン・サンサム(윤상삼)氏。
出典:YouTube 채널A 뉴스 2018/01/31『‘1987 특종 동아일보 기자’ 윤상삼 언론상 만든다』
東亜日報の記者でした。1999年4月6日、肝臓癌のため、44歳の若さでこの世を去りました。(参考:聯合ニュース2018年1月31日記事)
元総理のイ・ナギョン氏が東亜日報に勤務していた頃の部下にあたるそうで…鑑賞後にユン記者の思い出を語る動画がありました。(動画内1分48秒〜)
「ユン・サンサム記者は私の後輩でした。
後に彼は東京特派員も務め、私が国際部長だったので、言うなれば部下でしたね。
東京特派員時代、彼は人柄がよく、付き合いも良かった。
酒をたくさん飲み、肝臓癌になり、任期を終える前に帰国。そして間も無く亡くなりました。」
刑務所から外部に情報を伝えたハン看守
刑務所の中で拷問致死事件の真相を知り、世間に知らせるという大きな役割を果たしたハン看守。
劇中ではユ・へジンが演じました。
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実際の人物はハン・ジェドン(한재동)氏。
パク・ジョンチョル氏拷問致死事件が新聞に載ったことによる動乱の収束を図った警察は、チョ班長ともう1人を刑務所に収監しました。
しかし、刑務所に面会に来ていた警察幹部に対してチョ班長が反抗し、「責任を取ったのは私だが、殺したのは他の奴だ」と言い出します。
そしてこのことは、同じく収監されていた元新聞記者のイ・ブヨン氏の耳に入ります。
イ・ブヨン氏はチョ班長以外の犯人の名前をメモに書き、ハン看守に渡しました。
外では検問も実際されており、もしメモがバレれば自分も間違いなく拷問を受ける。
そんな危険を冒してまで、ハン・ジェドン氏は伝達の役割を果たします。
収監中に情報を入手したイ・ブヨン氏
刑務所に収監されていたからこそ、拷問致死事件の犯人の情報を手に入れたイ・ブヨン氏。
10年来の関係だったハン・ジェドン看守に情報を渡しました。
劇中では、キム・ウィソンが演じました。
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ハン看守と旧知の仲だったからこそ、外部への伝達を頼んだそう。
【事件関係者・警察】『1987、ある闘いの真実』のモデル
本作では、警察関係者だけは名前を変えず、加害者の本名を使用しています。
カン治安本部長
ウ・ヒョンが演じたカン治安本部長。
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モデルは警察の当時のカン・ミンチャン(강민창)氏。
2018年7月6日に、86歳で亡くなっています。(参考:SBS NEWS 2018年7月9日記事)
対共分室・パク所長
キム・ユンソクが演じた、対共分室のパク所長。
(C) 2017 CJ E&M CORPORATION, WOOJEUNG FILM ALL RIGHTS RESERVED
モデルはパク・チョウォン(박처원)氏。
ⓒKBS 화면 캡쳐
彼は2008年に死亡しましたが、事件に関して謝罪等はありませんでした。
対共分室・チョ班長
そしてパク・ヒスンが演じたチョ班長。
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モデルはチョ・ハンギョン(조한경)氏。
カン本部長とパク所長が主に責任を問われましたので、チョ・ハンギョン氏のその後は報道されていません。
おわりに
いかがだったでしょうか。
拷問致死事件の真相を暴いたこれらの方々のうち、もし誰か1人でも欠けていたら闇に葬られていた可能性があります。
まさに「みんなが主人公」。
当時の皆さんの行動に心から敬意を表します。
そして、映画としてこれ以上なく素晴らしいものに仕上げた製作陣と俳優陣に感謝です。
また当ブログでは、本記事のように実際の事件を関係者の証言などをもとに検証しています。
他の検証記事もご覧いただけると嬉しいです。
■『タクシー運転手 約束は海を越えて』のモデルになった人物紹介
最後までご覧いただきありがとうございました。
また次の記事もご覧頂ければ幸いです。